毎年のように起こる水難事故
沢や海に限らず湖や川でさえ
自然の脅威に楽観的な思考でいると
痛い目をみる…

「痛い」で済めばまだ良いけれど…
あなたの大切な方々を悲しませるような
結果になっては居た堪れない

もしものことを考えて…
自分のサーフィンや力量を
目の前の海と照らし合わせて

せっかく始めた素敵な趣味ですから
思い出に残るお休みを過ごしてほしい
海にまつわる過去の後悔
夏が始まり初心者の方々で溢れる海を見ると
「怪我人が出ませんように…」と自然と祈ってしまう
筆者本人も始めたばかりの時には
「サーフィンの季節だぁぁぁぁ」なんて
飛び上がりながら海へ向かっていた

予報を見れば日本の「夏ならでは」
台風スウェルが入っていたり…

強いうねりが炸裂して
クローズアウト(サーフィン不可能)
していたり…
スープで真っ白な海だけど
せっかく来たし体力あるから大丈夫

そんな気持ちで入ったこともあるが…
そんな時は例外なく楽しくない
うねりはグシャグシャだし
波を超えた瞬間に掘れ上がった波に潰される
その連続…

何度も波に潰されてもなんとか
上がってこれたから良かったものの…
潰されながらサーフィボードが顔に入ったり
海底に頭をぶつけたり…気を失ったら…
誰も居ない海に入ってしまえば事故に遭っても
誰も助けてくれません
今では考えるだけで恐ろしい…

クローズしていたり力量以上の海へ入った際に
必ずと言っていいほど経験したのが
サーフボードが壊れる事
波に乗れずにただサーフボードを壊しただけ
そんな後悔をする羽目に何度も会いました…
(身体じゃなくてよかった…)

そんな後悔の想いをして欲しくない一心で
この記事を書き進めたいと思います
沖に流れる海の流れ(離岸流)とは
海は遥か沖で生まれる
低気圧や高気圧によって掻き乱されます
そこからうねりが生まれ沖から浅瀬へ向かいます
最終的な逃げ場所となるのがビーチ

岸から見て海底がゆっくりと遠浅になっていれば
沖から来たうねりは海底を舐めるように
ゆっくりと岸へ近づいて来ます

徐々に水深が浅くなるにつれて
行き場を失くしたうねりのパワーは
波を持ち上げ反り返る
そこで波が「バシャーン」と音を立てて割れる

このうねりや波は一箇所だけでなく
様々な所で生まれ消えていきます
ただ…
最終的に岸に到着したうねりや波のパワーは
岸で反発してまた海へ帰っていく

その繰り返しで海底は形作られ地形が生まれる
はるか昔から繰り返されてきた
連鎖で生まれた海岸だからこそ
ちょっとやそっとの台風や嵐が来ても
無くなったりはしない

このうねりが帰っていくラインが
離岸流(カレント)です
海に帰っていくうねりは
押し寄せる波と一緒か
それ以上に強いパワーがあります

「坂を下る水」のように
海の中へ戻っていくので気をつけて見ていないと
足を掬われそのまま海底まで…

なんて恐ろしい事をイメージしてしまいますが
結果的にそうなる方が後を経たないのが事実…
特に地形が急に深くなる湖や岩場などでは
下へ下へ沈み込むカレントがあるので
「高い場所から飛び込んだけど上がって来ない…」
そんな事例は現に存在している事件です
離岸流の見分け方
さて私たちがサーフィンを楽しむ場所には
ほぼ全ての場所に
離岸流の生まれやすいポイントがあります

海を大きく眺めると
波が入ってくる所と
入って来ない場所があるはず

波の来ていない場所には
白い泡が溜まっていたり
枯れ葉が一箇所に固まって浮かんでいたりする場所や
海の流れが発生し人が纏って居られないような場所があります
そこがカレント(離岸流)になりやすい場所です

特に大きな波の時には
わかりやすく正体を表します
それは数十分に1回にやってくる
セットの波が割れた後
白波は消えずに岸に入ってきますが
ある場所は白い波がなくなっているところがあるはずです
それは打ち寄せる波を打ち消すパワーが
沖へ向かって流れているためです
このカレントに1度捕まると
岸へ直線で戻るのはほぼ不可能です

そんな時には
すぐに左右の広い方へパドルする事です
そうでないと延々と沖へ沖へと流されていきます
どんなに大きなカレントでも10mも横にパドルすれば
カレントの帯から抜けられるのではないでしょうか?

特に波が大きい日には
凄まじい勢いで流されますし
大きな波に巻かれれば気持ち的にも
落ち着いては居られないので
身体は硬直し無駄に疲れます
沖へ流されている時には
とりあえず横にパドルする
人が居る左右どちらかへ
覚えてください

⇧波のそり立っている所ではない
ピンク色の丸から沖へ流れが生まれています
少し沖へ出てから波の割れている場所へ
パドルしましょう

目視でもわかりやすいのが
ビーチの両サイド
テトラポットが積んであったり
堤防になっていたりと
人工物がある場合には
そこに沿って沖への流れが生まれやすいです

奥の青い矢印は
沖から岸へ向かう流れがありますが
手前は水色の矢印に向かって
沖への流れが発生しております
ちょうどピンクの⭕️部分に
カレントが発生しています
うねりが不自然でボヨボヨと
沖へ向かって流れて行きます
実際にじっくり目視すると
尚更わかりやすいので落ち着いて
海を見ればすぐに判断可能です
ココへ逃げてはいけません
よく目にする光景として
カレントから逃れたいが為に
近くのテトラポットや
岩場によじ登る方がいるのですが
尚危険です

多くのテトラポットや岩場には
珊瑚やフジツボがついているので
足や身体がズタズタに切れてしまいます
そしてそんな場所には冒頭でも紹介した
特有の流れがあります

大きなうねりに負けないよう
考えられ積んである人工物
そこには逃げ場を失ったうねりが
海底へ向かう強力な下へ向かううねり
が生まれやすいのです

その為テトラポットの周辺に落ちて仕舞えば
海底へ吸い込まれる可能性があります
そこへ入ったら一貫の終わりです

大波が入ってくれば波にさらわれたり
テトラの上に弾き飛ばされます
何はともあれ…大切なのは
大きな波の時に力量以上の波が入っていたら
傍観席に周れば済む話です
コツコツ日々のトレーニングを積み重ねつつ
少しずつステップアップするのが
1番の近道なのは
サーフィンに限った話ではないはず
片貝エリアでカレントに流されたら…
ここで筆者が好きでよく通う
千葉北「片貝エリア」のカレントについて
ご紹介させて頂きます
ビーチの広い片貝エリアで
大きなカレントにハマってしまった…
一生懸命パドルしたけど全く抜け出せそうにない…
これ以上動いても絶対に無理だ
絶望に暮れたそんな時でも解決策が1つあります
沖から岸に戻ってくる流れがあります
最終的にサンライズ九十九里の手前まで運ばれるのです

それまで沖に2kmほど流されるようですが…
安心して流されましょう…
焦って堤防やテトラにしがみ付くよりも
よっぽど安全です
漁が行われている午前中であれば
途中に浮かぶ漁船の船乗りさんが助けてくれます
【離岸流(カレント)】初心者の心得
①流される前に捕まらない
もし捕まったら横へパドルする②極力人のいる場所に留まる
③無理に沖まで出ようとしない
④テトラには近づかない
⑤初心者ならカレントに乗って
アウトにいる人が良い波乗ってるといきたくなるんですよね
アウトに出るようなことはしない
わかります…ただ…覚悟も必要です
何はともあれ大切なのは
「初心者の実感がある」
「まだ頭以上のサイズに乗った事のない」
そんな方は大きな波(肩以上)の日には
できるだけミドル位置でのサーフィンか
スープでテイクオフの練習に明け暮れるのが
1番良い日を過ごせるのではないかと思います

台風スウェルが入っていたり
爆弾低気圧のうねりがあったり
「妙に引き潮が強いな…」そんな日には
コツコツ積み上がる練習をおすすめします
狙った波に100%テイクオフできるようになったら
それは「いざ出陣!」アウトへ向かいましょう
過信は大怪我につながります
大きな波の魅力
恐ろしいことを様々書き続けてまいりましたが
大きな波の魅力もご紹介させていただきます
なんと言っても台風の連れてくるパワーは
良いサーフィンの源泉です

この世界で1番重いものは何か…
それはこの地球自身

その7割が海ですから
普通は易々と動かすことができません
それが台風と言う自然現象のおかげで
大きく揺れ動くのです
底から持ち上げられる
波のパワーは計り知れず
ダイナミックなサーフィンを楽しむことができます

先ほどのカレントを理解することで
次のセットがどこから入るかを読めるようになり
パドルのタイミングも身体が覚えてきます
ポイントブレイクである場所を選べば
パドルをほぼ必要とせずにピンポイントで
テイクオフが出来ます
そこから脅威的なパワーを追い風にして
アップスが始まりターンの迫力も
技の完成度も高くなります
まるで自分が上達したかのような錯覚に陥るほどに
サーフィンの進化を感じるはずです
もしかしたら日々頑張っているあなたが
本当に上達しているのかもしれません
良い波の日にこそ
その人のサーフィンが本領を発揮するものですから
ぜひ周りの方へ「今の一本どうでした?」と
聞いて見てくださいね
それでは今日はこの辺で
気持ちの良いサーフィンの季節に
安全で素敵なサーフィンライフを
まとめ
①入る前に海を眺める
②波の来ていない場所で波が沖に戻っている場所はないか確認する
③無理にアウトまで出て行かない
④捕まったと思ったら焦らず横にパドルする
⑤テトラや堤防には近づかない
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